最近、Twitter 経由でおすすめされている本を買うことが多いんだけど、これもその中の一冊。
グラフをつくる前に読む本 一瞬で伝わる表現はどのように生まれたのか
- 作者: 松本健太郎
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2017/09/23
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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装丁とタイトルだけ読むとグラフの書き方を図解で学ぶハウツー系の軽い本のように思えるけど、予想をいい意味で裏切る良書だった。似たような資料としてマッキンゼーのスタイルガイドがあるけれど、こっちの方は基本というより応用編的な難易度でなかなか使いにくく感じていたので、この本のシンプルさには感銘を受ける。
何がいいかと言えば、各グラフの説明だけでなく、そのグラフが生まれた歴史までがきっちり調べて書かれているところ。てっきり、いろいろなところで生まれたグラフ概念が洗練されて今の形になったのだと想像していたのだけど、現在使われているグラフのほとんどが1786年に発行されたウィリアム・プレイウェア著「The Commercial and Political Atlas」を起源とするというのには驚かされる。なんて有能な人なんだ。
とはいえ、このプレイウェア氏、様々な事業に挑戦したものの失敗し、詐欺、恐喝、名誉毀損と犯罪尽くめの晩年だった挙げ句、グラフの生みの親として評価されたのは19世紀以降と残念な人生だったようで。世の中うまくいかないものですなぁ。
もちろん、この本の良いところは歴史や用語の定義などきっちりバックグラウンドを書いているところだけではない。グラフの使い方について次のようなわかりやすい指針を示しているのは大変実用的だと思う。しかもこの内容を惜しげもなく本の最初にもってきてるは理解を容易にする意味でとても良い。
得意な表現方法 | 個別 | 全体 | |
---|---|---|---|
実数 | 割合 | ||
データ間の比較 | 棒グラフ | レーダーチャート | 円グラフ |
積み上げ棒グラフ | |||
時間の経過による推移 | 折れ線グラフ | 面グラフ | |
データの偏り | ヒートマップ | ||
データ項目同士の関係 | 散布図 |
そうそう、これが知りたかったんですよ。*1
円グラフは使ってはいけない、という主張も説得的。なるほど、今後は円グラフでてきたら眉につばを付けて見るようにしよう、という気になる一冊。
*1:本書内での主張とグラフの配置が微妙に違っていたので一部修正しました