ここ最近、世界史づいているのだけど、明らかに思うのは初手の学習で「ヨーロッパ中心史観からの脱却」は間違っているだろうということだ。
もちろん、これはヨーロッパ中心史観が良いと言っているわけではない。単純な話、世界史は時系列、地域、宗教、文化、言語、思想、人種……など様々な切り口で見ることができるだけの多様性があり、すべてを一度に理解することは難しい。そうやって様々な視点から見ることでより客観的に世界の在り方を眺めることができるようになるが、それには長いプロセスが必要となる。
一方で、これらすべてを満たすはあまりにも多様すぎて何もかもが漠然としてしまう。今、評判が良かったので「イスラームから見た『世界史』」を読み始めたけれども、これも従来型のヨーロッパ中心史観を読者が知っていることを前提に書かれている。結局のところ、オルタナティブは従来的な考えへの反発として構成されている以上、まずは(たとえ必ずしも適切でなくとも)従来的な考えを抑えておく必要が出てくる。
そう考えていくと、やはりまずは現代の欧米に繋がる歴史を学んだうえで、そうではない歴史もある、という形で見ていくのがよいだろう。
同書の前書きには従来型の歴史の流れの例として次のように記載されている。
- 文明の誕生——エジプトとメソポタミア
- 古典時代——ギリシアとローマ
- 中世——キリスト教の興隆
- 再生——ルネサンスと宗教改革
- 啓蒙時代——探索と科学
- 革命の時代——民主革命・産業革命・技術革命
- 国民国家の出現——覇権をめぐる闘争
- 第一次世界大戦と第二次世界大戦
- 冷戦
- 民主的な資本主義の勝利
最後の「民主的な資本主義の勝利」は実情にそぐわなくなっているので外しても良さそうだが、これであれば10分で説明できなくもないような気がする。