hidekatsu-izuno 日々の記録

プログラミング、経済政策など伊津野英克が興味あることについて適当に語ります(旧サイト:A.R.N [日記])

41歳にして自動車免許を取った

孔子曰く、「40歳にして惑わず」とは言うものの、40歳を超えたくらいで、そうそう人間変わらない。うんざりするほど子供っぽい(余談だが、仮面ライダージオウはやたら面白い)し、むしろ、大人にならなきゃ、という抑圧から解放され、より幼くなっているのではと思うこともある。

感覚的にはそんな感じなのだけど、一方で、せいぜい40年しか人生残っていない、という事実にも気付かずにはいられない。そんな感覚は30代にはなかった。今までは、いつかやればいいや、と思っていたのだが、もはや今やらないと一生やらないことが確定してしまうのだ。

そこで自動車免許だ。

正直、自動車免許が絶対に必要だと思ったことは一度もない。周りの話を聞くと、身分証明書として便利という声が多いのだけど、写真付きのマイナンバーカードで十分なので住基カードより前の知識で止まっているのだろう。*1

東京暮らしが人生の半分を過ぎた今、車に乗る必然性はまるでない。せいぜい、旅先で自動車乗れたら便利だろうな、と思うくらいか。とはいえ、このまま車を運転することなく死んでいくのか、と思うと怖くなってきた。車に乗る必然性はないとはいえ、子供の時はゴーカートが好きだったし、レースゲームも大好物だ。それ以上に、日本人の通過儀礼としての自動車免許を取らなかったことが、自分の幼さに繋がっているのかもしれないという思いもなくはない。

そこで関係各所と調整のうえ、なんとか2週間の休暇をもらい、6月~7月にかけて、福島の湯本自動車学校という場所に合宿免許に行ってきた。

40代で自動車免許を取る人も珍しかろうから、どんな感じだったかを簡単に書いておこう。

  • 申し込みは「ローソンの運転免許」で行った。トラブルがあったとき大手の方が仲介に入ってもらいやすいかもしれない、という思いでそうしたが、申し込んで振り込みしたらすんなり終わった。資料が送られてくるので、その指示に従がえば良いだけで特に迷うようなところはなかった。
  • 費用的にはAT限定免許で20万円強だった。東京で免許を取ると、合宿でなくても30万円を超えるので、地方で合宿免許というのはとても経済的。宿舎は予想外に快適だったし、飯もうまかった(お昼の弁当はかなりいまいちだが)。お風呂は宿舎含め温泉で、日帰り入浴にもあちこち行った。湯本温泉は古いせいか露天風呂が少なくてそこが残念ではあった。
  • 半分は夏休み気分で行った(だから温泉地にした)のだが、休日なしの9:00~19:30でスケジュールが組まれているため、休暇感はまったくなかった(途中に空き時間はそこそこあるとはいえ)。特に仮免の見極めに落ちた辺りで、休暇の延長が必要になり、かなり焦ることになってしまった。
  • AT免許では、第一段階で技能教習が最短12時間となっているが、まったくの素人が乗れるようになるには短すぎるように感じたので、数日、日程が伸びることは覚悟した方がよいと思う(MTだと15時間だが、このくらいの時間が最低ラインではなかろうか)。
  • 車の運転が思っていたものとまったく違っていた。もっとシステマチックなものかと思っていたのだが、ありえないくらいメカニカルだ。ハンドルやアクセル/ブレーキの使い方もレースゲームとまったく違うので当初すごく戸惑った。
  • 昨今、ブレーキとアクセルの踏み間違い事故が話題になることが多いが、この UI なら起こって当然ではと思ってしまった。ブレーキも最大限押し込むと徐行速度になって、離せば止まるとかになっていれば、そんな事故起こらないのに。ほんと、テスラがんばれ、と言いたい。
  • 結局最後まで、適切な速度、安全確認の手順、車体間隔がわからなかった。ダメ出しばかりで何が正解なのか良くわからない挙げ句、教官によって言うことがぜんぜん違ったりするので、とても戸惑った。教育方針のすり合わせとかしないもんなのか? 速度に関しては、標識がないから60kmと言う教官もいたのだが、調べる限り、片側1車線なら50km、片側2車線なら60km が上限となっているそうだ*2。教科書にすら載っていないが。
  • 車体の間隔に関しては実際に降車して体験するなどの講習があった方がよいのではないか。感覚だけで覚えるには時間数が短すぎるように思う。本線合流に至ってはまったく事前説明がなく、いくらなんでも無理があるだろ、という感想しかない。
  • これだけ多くの人が免許持っている割に、合理的とは言い難い制度と仕組みで構成されており、世の中想像以上に適当なものだと実感した。
  • 正直、取得には大変苦労した。学科試験も決して簡単なものではなく、よくこんな大変な試験を世間の大半が通過してるもんだと思った。これに合格できるなら日商簿記とか情報処理試験とか余裕で合格するはずなので、みんなもっとまじめに資格試験受けた方がよいのではないか、という気持ちになった。

本当は40歳のうちに免許を取ってしまいたかったのだが、本免学科試験は居住地でないと駄目とのことで、最終的には誕生日を過ぎた7月後半に免許発行ということになった。とはいえ、免許の有効期限は誕生日が基準となるので、結果オーライと言えなくもない。

いまだ車線変更とバックでの駐車がうまくできないなど、まだまだ初心者を脱しきれていないので、しばらくは週に一度くらいは乗ろうかな、という感じ。

*1:マイナンバーカードはコピーできる条件に制限があり、そのせいで身分証明書としての使用を拒否するお店があるのがやや面倒ではある。専用ケースに入れた状態での表面ならば、身分証明書として使えることになっているのだけど。その意味で住基カードより利便性が落ちているのは残念だ。

*2:実際には交通量などによってもっと細かい規定がある。