hidekatsu-izuno 日々の記録

プログラミング、経済政策など伊津野英克が興味あることについて適当に語ります(旧サイト:A.R.N [日記])

ニューラル経営論

ひとつの企業を関数だと見なすと、需要を説明変数、利益を目的変数とした P = F(D) として表現できる。この時、商品やブランド、従業員の能力といった企業の構成要素はFのパラメータに含まれることになるだろう。

このパラメータ群を何らかの方程式として表現することもできるだろうが、日々変わる企業内の状態を特定のモデルで表現することは難しい。ここではある種のニューラルネットワークからなるものと考える。企業は、直面する需要に従い、パラメータを学習しながら利益を改善していくニューラルネットワークである。需要に合わせてパラメータを最適していくが、過去の需要動向が現在のパラメータに影響するため、日々変化する需要に必ずしも最適化されない。また、最適化することで(リーマンショックやコロナといった)需要の変化にうまく対応できなくなる。

 

一見、企業の行動をうまくモデリングできているようにも思えるが、あえてこのように考えなければならないメリットはあるだろうか。

最近、そのような現象が起こった。GoogleMicrosoftAmazon といった莫大な利益を上げ続けている世界的企業での大規模なリストラである。利益には十分な余裕があり、入社も難しく優秀な社員ばかりなのにも関わらず、である。実際にそうであるかは知るよしもないが、リストラ対象の社員は能力ではなくランダムに選ばれたという話もある。

ここでひとつの仮説を提唱する。それは、これらの企業は、企業を構成するニューラルネットワークが需要に対する過学習を防ぐために「ドロップアウト」を実施しているのかもしれない、ということだ。

ドロップアウトとは、ニューラルネットワークの一部のニューロンをランダムに無効にすることで入力データに対する過学習を防ぐ手法である。

過学習した組織は現在の需要に対しては適切な対応を行えるが、経営環境が変化すれば不適切な対応をしてしまう。企業はそれを防ぐために定期的に商品やブランド、そして従業員の無効化を行う必要が出てくる。

この仮説が仮に事実だった場合、今後の組織運営はどのように変わっていくだろうか。逆説的はあるが、現在のような大規模なリストラは必要ないという結論が得られるかもしれない。

ニューラルネットワークにおけるドロップアウトは、該当のニューロンを永続的に除去することはしない。あくまで一時的に無効化するだけだ。従業員の永続的な退出は組織が持つナレッジの一部を欠落させてしまう。組織においても同じことを行うのであれば、従業員をランダムに選択し強制的に長期休暇を取らせたり、特定の商品を短期間、市場から撤去するなどの方法を検討すべきかもしれない。

 

※言うまでもないことですが、今回のエントリは与太話です。