hidekatsu-izuno 日々の記録

プログラミング、経済政策など伊津野英克が興味あることについて適当に語ります(旧サイト:A.R.N [日記])

「引き寄せの法則」の歴史

先日紹介したルメルト「戦略の要諦」の前著「良い戦略、悪い戦略」の中にいわゆる「引き寄せの法則」の歴史について書かれていたので紹介したい。 良い戦略、悪い戦略 (日本経済新聞出版) 作者:リチャード・P・ルメルト 日経BP Amazon 長いが「引き寄せの法…

ベイズファクターが難しすぎる件について

ベイジアンサイドでは p 値に代わるものとしてベイズファクターが推されている。ベイズファクターは、2つのモデルの尤度比から算出される値だ。 p 値の問題点はいろいろあるが、実務的にはデータの追加ができないというところが大きい。ベイズ統計学を使う…

「戦略の要諦」は、むしろPM/PdMの必読書かも

リチャード・P・ルメルト「戦略の要諦」という本を読んだ。書名の通り、戦略について書かれた本ではあるのだけれど、経営者よりもむしろPMやPdMにとって有用なリーダー論になっているのが面白い。あまりに面白かったので前著の「良い戦略、悪い戦略」まで読…

統計学とは何か、そしてベイズ統計学の話

細々と統計学を調べ続けているが、最近ようやく統計学というものが何なのか、おぼろげながらわかるようになってきた(なお、統計学ができるようになってきたわけではない) 統計学を知る前の自分と今の自分をくらべたとき、間違いなく違うのは統計学に対する…

「戦略ごっこ マーケティング以前の問題」を読む

たまたま見かけて買った本だったけど、おそらくこれはすごい本だ。マーケティングについては門外漢なので、間違ったことを言っている可能性もあるが、「21世紀におけるマーケティングの教科書」と呼んでも差し支えない内容だと感じる。 戦略ごっこ―マーケテ…

子供が生まれた日の記録(おかわり)

なんと2人目が産まれた。今度は男の子である。 子供は2人欲しかったので、これは大変喜ばしいことである。夫婦2人に子供2人、合わせて4人。これで4人プレイのボードゲームができる。3人用のルールもあるにはあるのだけど、4人プレイ前提をむりやり3人用に変…

「自己啓発の教科書」を読む

「自己啓発の教科書」は、その名前に反し、様々な自己啓発書を分類し整理した本だ。 自己啓発の教科書 禁欲主義からアドラー、引き寄せの法則まで 作者:アナ・カタリーナ・シャフナー 日経ナショナル ジオグラフィック Amazon 原書は「The art of Self-Impro…

歴史を学び直した話

歴史に苦手意識があるわけではないのだけど、まったく縁がない人生だった。理系に進む多くの人がそうだと思うが高校で地理を専攻すると高校でまじめに歴史を学ぶ必要がない。高校でも授業はあったはずだけれど、中学校の知識(しかも不完全)で止まっている…

今年読んだ/見たおすすめの本・動画

年末らしく今年のおすすめの本3選と思ったのだけど、子育てと仕事が忙しくてあんまり読めておらず2冊しか思いつかなかったので3つ目は動画を選んでみた。 その1「遺伝と平等(キャスリン・ペイジ・ハーデン)」 遺伝と平等―人生の成り行きは変えられる― 作…

「プロジェクト管理手法の歴史」という記事を書いた

以前、調べて書き溜めたままになっていた文章なのだけど、腐ってしまいそうだったので公開してみました。 システム開発関連のことって、理系の人も多いはずなんだけど、結構、嘘や間違った記述が多くて困ってしまう。上記の記事では、ウォーターフォールモデ…

「ラムズフェルドの人生訓」を読む

Twitter で話題になっていたが、たしかに非常に面白い。 著者はあのラムズフェルドである。ラムズフェルドと言えば、ブッシュ政権を陰で操ってきたと噂される人物であり、大量破壊兵器があるというデマをでっち上げ、イラク戦争を強引に推し進めた。そういう…

変わるダイエットの常識

別に好きで趣味にしているわけではないのだが、ダイエットに関する研究本は継続的に買っている気がする。私の家系にはやせ型がいない。齢を重ねると痩せにくくなるのはわかってはいるが、最近は食が細くなっているにも関わらず体重は徐々に増加中だ。 今回読…

My 正議論

意見というのは十人十色、様々な主張はあってしかるべきとは思う。 思うものの、事件の犯人に対する擁護は被害者に対する攻撃や抑圧として機能することも忘れるべきではないと思う。「ロシアが戦争を仕掛けたのはウクライナの挑発があった」、「性被害の告発…

過去は変えられないが、未来は変えられる

「過去は変えられないが、未来は変えられる」とか書くとちょっと啓蒙書っぽいタイトルで気恥ずかしくなる。ただ、自身の考えが昔と変わってきたので書き留めておこうと思う。 今、ちょうど話題だからジャニーズ事務所の性加害問題を例に挙げる。しばしば、こ…

人は思考の枠から外れた展開を想像できない

先日「AFURI」というラーメン屋の商標の件でひと悶着があったことは知っている人が多いと思う。 さて、この吉川醸造の主張を読んでどう思っただろうか。普通は「AFURIはひどい会社だ。許せん」と思うのではなかろうか。では、次の記事を読んでみてほしい。 …

JTC-utils という日本企業向けユーティリティライブラリを作った話

当初は2週間くらいでさくっと作る予定だったけど、気付いてみれば早3カ月。ようやく公開できる状態になりました。 ここまで時間がかかったのは、技術的課題というよりは、子育て真っ最中でプライベートな時間がほとんど取れなかったことが一番の理由です。…

アジャイル開発の謎(Velocity、Story Point、そして User Story)

アジャイル開発についてはそれなりに調べているはずなのだが、いろいろ謎がある。具体的には Velocity、Story Point、User Story の出典は何なのか、という点である。 アジャイル開発についての一般書籍や概説を読むと必ず出てくる概念なのだが、これらの概…

ニューラル経営論

ひとつの企業を関数だと見なすと、需要を説明変数、利益を目的変数とした P = F(D) として表現できる。この時、商品やブランド、従業員の能力といった企業の構成要素はFのパラメータに含まれることになるだろう。 このパラメータ群を何らかの方程式として表…

ランダム関数の現在

ハッシュ関数と似たような存在にランダム(乱数)関数がある。 ランダム関数のアルゴリズムと言えば、線形合同法が一番有名だと思われる。そして、このアルゴリズムは下位桁がランダムにならないことでも有名である。ランダム値は基本範囲の最小と最大の値を…

ハッシュ関数ひとめぐり

現代のソフトウェア開発を支える大きな技術のひとつにハッシュ関数がある。ハッシュ関数とひとえに言っても用途に応じて必要となる特性にも違いがあり一概にこうだとは言い難い。ハッシュ関数の用途としては次の3つがある。 ハッシュテーブルのキー位置導出…

日本の労働生産性はなぜ低いのか(おかわり)

以前、「日本の労働生産性はなぜ低いのか」というエントリを書いた。 先日、Twitter にて 日本の統計データの分析について積極的に発表されている小川製作所さんとやり取りさせていただいた中で、新たに気付かされたことがあった。 まず、下記のツィートのグ…

「メインメモリ上での13の等価結合手法の実験的比較」を読む

日本におけるデータベースの大家である kumagi さんが「An Experimental Comparison of Thirteen Relational Equi-Joins in Main Memory」という論文を紹介していた。 13種類のJoinアルゴリズムを比較ベンチしたよという論文。800万行以上ではパーティション…

オライリー「大規模データ管理」はどう書かれるべきだったか

オライリーから出た「大規模データ管理」という新刊を読んだ。 大規模データ管理 ―エンタープライズアーキテクチャのベストプラクティス 作者:Piethein Strengholt オライリージャパン Amazon 私の担当するような基幹系システムでも、特に業務は変わっていな…

Hugging Face のタスクの一覧

世の中便利なもんで Hugging Face というサイトで学習済みの機械学習モデルが多数公開されている。これらのモデルはそのまま使っても良いし、事前学習モデルとして使うことで独自のタスクにも使うことができる。 元々は Transformer のためのサイトだったよ…

vue-history-state を next.js にも移植した

先日の記事では、Next.js に移植しようかなぁ、という話を書いていたが、無事移植できた。 next-navigation-history - npm 最初は next-history-state で出そうと思ってたんだけど、ブラウザ標準機能として Navigation API というものが計画されている聞き、…

Qiita に vue-history-state の解説書いた

前々から書こうと思ってたのだけど、ようやく書けた。 Nuxt + ブラウザバックとかで調べても nuxt-history-state も vue-history-state も全然ひっかかってこないんというのもあるんだけど、あんまり使われている様子がないので解説記事を作ってみました。 …

ジューディア・パールら著「因果推論の科学 『なぜ?』の問いにどう答えるか」を読む

因果推論の大家のひとりパールによる書かれた因果推論についての解説書だ。読んでみたら、すこぶる面白かった。 因果推論の科学 「なぜ?」の問いにどう答えるか (文春e-book)作者:ジューディア・パール,ダナ・マッケンジー文藝春秋Amazon 元々、因果推論に…

「AI技術の最前線」から何が見えるか

Preferred Networks の創業者 岡野原さんの「AI技術の最前線」をひと通り読んだ。 AI技術の最前線 これからのAIを読み解く先端技術73 作者:岡野原 大輔 日経BP Amazon 岡野原さんは、以前から簡潔データ構造などアルゴリズム系で有名な方だったが、起業した …

WSL2 で Systemd と docker を有効にする

WSL2 はリリース以来とても便利に使っているのだけど、不満がいくつかあった。ひとつは Systemd が使えないこと、もうひとつはそれが理由で docker のサービス起動が厄介なこと。 Docker Desktop for Windows を使うというのが今までのセオリーだったのだけ…

中高生の時に知りたかった英語の話(文法編)

以前、「中高生の時に知りたかった英語の話」というエントリを書いたが、相変わらず英語学習を続けている。で、今回は文法の話。 文法を学ぼうと思ったとき、まず考えたのは(私はプログラマなので)BNFとかチートシートを見るのがよいんじゃないか、という…