hidekatsu-izuno 日々の記録

プログラミング、経済政策など伊津野英克が興味あることについて適当に語ります(旧サイト:A.R.N [日記])

低額のベーシック・インカムじゃダメなの?

フィンランドベーシック・インカムを導入するのでは? という観測が流れ話題になっている。

どうも、この話まだ検討中の内容にすぎないということで、この社会実験の実現はまだまだ先のことになりそうなのが残念ではあるけれども。

ベーシック・インカムと聞くと直観的に正しくないと感じてしまったり、究極の社会主義のように思ったりする向きもあるようだ。しかし、ベーシック・インカムには合理的な基礎があることはもっと知られて良いのではと思う。

負の所得税という言葉を聞いたことがあるだろうか。これは文字通り最低の所得税をマイナス(すなわち所得水準が低い人々には給付)する政策で、リベラルの巨人ミルトン・フリードマンが提唱した政策だ。負の所得税の考え方は現在では給付付き税額控除という形で様々な国で採用されている。

ベーシック・インカムは累進的な所得税と組み合わせることで、事実上の負の所得税として機能することが知られている。しかも、負の所得税の欠点である所得把握が不要、要件による排除が起きないという大きなメリットも持っている。社会主義的な政策である一方でリベラルで合理的な裏付けもあるという、なかなかに面白く興味深い制度となっている。

過去に書いた内容の焼き直しになるけれども、個人的には月額2~3万円程度の低額のベーシック・インカムから始めてみてはどうだろうかと思う。「アダプト思考」ではないけれども、何事もビッグバンで始めることはない。良かれと思って始めたことが、失敗するなどよくあるのだから、いったんそのレベルで様子を見るのがいい。

月額2~3万円なんて財源はどうするんだと思われるが、同額分、所得税増税生活保護、年金の減額を行えば、社会保障の枠から外れた人たちだけの財源で済むのだから、たかがしれている。この度、せっかくマイナンバーを導入することになったのだから、国民口座もついでに開設してワンセットで運用すれば給付も納税も効率よい運用が可能になるのではないかと思うのだけれどいかがだろうか。